1970年代半ばだったでしょうか。創業者の父が「事業訓」と「必勝の原則」をしたためました。額に入れ、今も会議室の壁に掲げています。
事業訓
企画 商品計画なくして開発なし
開発 市場開拓なくして販売なし
販売 技術サービスなくして利益なし
利益 なくして事業なし
必勝の原則
- 一. 自己管理
- でたらめをつゝしみ己に勝て
- 一. 必勝
- 前進あるのみ、さがるな、逃るな
- 一. 目標
- 目標は正しく鮮明にかかげよ
- 一. 責任
- 責任を回避せず立向え言訳無用
- 一. 報告
- 唯一無二の義務、報告は活動の領収書なり
- 一. 原価意識
- 価格なき販売は罪悪なり、利益の最大限を追求せよ
- 一. 禮節
- 最高のマナーを心得よ
- 一. ショーマン
- 自分自身を売ることに命をかけよ
- 一. 時間管理
- 訪問時間は成果に正比例、一刻を黒字決算で制覇せよ
- 一. 問題意識
- 意識革命 情報で武装せよ
ビジネスの教えですから、原価意識や時間管理などに対して厳しい姿勢を求める言葉が中心です。
ただ、こうしたなかでも、「でたらめをつゝしみ己に勝て」という自己管理を最初に掲げたところに、社会に対する責任を深く意識していた創業者の心を感じます。
思い出すのは、昭和34(1958)年、当社も大きな被害を受けた伊勢湾台風のことです。あの後、急ピッチで進む建物再建と木材不足を受け、市場では木材の価格が急騰しました。しかし、不二木材工業は、従来価格の一割程度の値上げに抑えた自粛価格を定めたのです。地域の皆様が懸命に復旧に取り組んでいる。そんな時だからこそ、目先の利益を追い求めるのではなく、少しでも地域の力になりたい。それが父の気持ちでした。