沖縄といえば、名護市庁舎。
はじめて名護市庁舎をみる機会を得て上機嫌。
像設計集団(ぞうせっけいしゅうだん)の代表作として有名。
昭和56年竣工。
建築学会賞受賞作ということで、建築の設計を志す者にはよく知られた作品です。
第一印象。
「・・・なんか、沖縄というよりもう少し緯度が南のほうの王国の感じかなあ・・・。」
亜熱帯の宮殿そのものがモチーフになっているのは間違いなさそうだぞ。
ちかづくと一見、コンクリートブロックを積み上げたようにみえるが。
鉄骨柱をコンクリートで覆った、鉄骨鉄筋コンクリート造とのことで。
とりあえず、こどもたちほったらかして。
「すごい、すごいなあ!」って、ひとりで興奮。
とにかく、いきをのむ感動的な造形。
時間をわすれてしまいそうになる。
建築物をみて「感動」できるよろこび。
映画や音楽を見たり聞いたりしたときみたいに、感動できる。
「建築やっててよかった。」って。思える瞬間。
屋上庭園。
長男いわく「遺跡みたい。」とのこと。
確かに、現在「市役所」として使用されているとは思えない。
この建物の目玉のひとつ。スロープでワンショット。
開口部には改修されたような・・・感じがあるけど・・・まさかの「アルミサッシ?」。
・・・建設当時は、真夏でもエアコンなしでいられるようにと。
極端に開口部の多いつくりだったとか。壁のみならず床も。
名物シーサーが56体。
レンガを割っているよに見えるが・・・。ガウディっぽい。いい!
沖縄名物、「アサギ」テラス。
「厳しい暑さ、湿度、頻繁な台風の襲来。」という独特の自然環境が生んだ信仰。
神との対話の場。
強烈な太陽の日差しを拒むことなく
受け入れようとした古の人々の「神への畏れ」がそのままデザインになったような。
像設集団はその「アサギ」を再評価したと思われる。
おお!この感じはコルビジェの「ラ・トウレット修道院」のイメージが重なる!
意識したとおもうなあ。私は。
像設計集団の主要メンバーは、建築家「吉阪隆正」の弟子。
吉阪隆正は若いときにコルビジェに師事している。
世代を超えて影響しあってる。たぶん意識してる。ぜったい。
(↑註:ラトウレット修道院 フランス リヨン)
醸し出される全体の雰囲気に目をうばわれがちになるが。
デザインしつくされたディテールも見どころ満載の名護市庁舎でした。
竣工後35年あまり。
できるなら、これからも保存にむけた取り組みが期待されるところ。
アンコールワットやボロブドウール遺跡のように何世紀にもわたって
存在しつづけることは到底不可能だが(コンクリートの物理的寿命は100年にみたない。)。
にしても、この力強い造形のもつ影響力を過小評価するわけにはいかない。
経年変化の結果、塗膜も退色が進行。かえっていいね。
化粧がはがれてコンクリートの素肌がむき出しになったその異形の建造物が
その本来のすがたを見せた感じ。
そいつを直接的に向き合う者につきつけてくる。
にしても・・・実際のところ、維持管理状態は「最悪。」
定期的に必要とされる塗装も防水も改修されていないようだし。
ドレンは排水不良。完全につまってる・・・。「日常のそうじでなんとかなるはずだけど・・・。予算が無いのかな・・・。」
このままでは近い将来廃墟になる。間違いなく。
沖縄だけの問題だろうか。
今からなら間に合うかもしれない。
できることからはじめよう。